アートとクラフト。このシンプルな言葉の響きに、ひとは何を想うだろう。

現代社会の現実と日々格闘するなか、ひとは大切にしてきたはずの自分の「夢」とは裏腹に、身のまわりの状況に対処することばかりにエネルギーが傾いて、ひとりひとりが持つ輝きを発揮できないまま、生きているのかもしれない。

自分とは、そして生きる目的とは、いったい何なのだろう。そうした根源的なテーマについて深く考えさせられることが、私自身とても多くなってきた。目の前の現実に向き合うことと、自分本来の生き方との間に限界あるいは矛盾が生じてきているような気がする。

そんな今、ほんの少しの時間でいいから、自分の「夢」の出発点を見つめなおして、生きていくうえで一番大切な座標軸は何なのか、自分が素直に感じること、自分が本当に大切にしたいこと…、自身のこころのうちにあるそうした声に、もう一度耳を傾けてみたい。

自由なイマジネーションの空間で、しばし、こころの旅に出かけてみれば、忘れかけていた世界がきっと見つかるはず。自分にとっての価値って、そんな瞬間（とき）から生まれるような気がするし、そうした価値を追い求めてキラキラと輝くこころのあり方こそが、ひとりひとりにとっての創造なんだと思う。

自分が今感じること、やりたいこと。そうした素直な想いからひとつの「表現」の姿ができあがり、「創造」を通じて、また新たな「価値」が生み出される。

自分のこころをものに映し出すそして自分の感性で、価値を創造する。それは、誰にとってもごく自然で、純粋な「夢」なんじゃないだろうか。「ほくしん」の原点は、きっとそこにあるのだと思う。

もの創りの現場に携わってきた自らの歩みを振り返って、いま一度、創造活動のあるべき原点に立ちたい。自分自身のそんな「夢」を描き出したのが、『ほくしん』の姿なのかもしれない。

『ほくしん』は、「素材と創造」という無限の価値、そしてひとりひとりの未知なる「夢」の実現に向けて、みなさんとともにチャレンジしたいと思います。ギャラリーで、インターネットで、出会いをともにしてくれるみなさんにとって「こころともの」の道標べ、「空間とデザイン」のプラットホームであり続けたい…。それこそが、私たちの果てしない「夢」です。